性交の授業計画

精子と卵子はどうやって出合うのか？

・この時間は，卵子と精子がどんなふうに出合うのか（ひとつになるのか・結びつくのか・合体するのか）について勉強しましょう。

・まずみんな，カブト虫の精子と卵子はどうやってひとつになるか知ってるかな？見たことある子ないかな？

・そうだね。カブト虫のオスがメスの上にのっているのを見たことのある子もいるね。交尾なんていう言葉も知ってるかな。

・今度は魚の卵子と精子はどうやってひとつになるか知ってるかな？

・そう，卵を産む時期になると，オスとメスはぴったりよりそって泳ぎます。そして，メスが卵を産むと，オスがサ－ッと精子をかけるのです。こうして卵子と精子はひとつになり（出合い），赤ちゃん魚になるけど，この後ほとんどの魚のお父さんとお母さんはそのままどこかへ泳いで行ってしまいます。なかにはこの絵のサケのように死んでしまうものもあります。だから赤ちゃん魚は大きな魚や鳥に食べられたり，流されたり干し上がったりして，ほんの少ししか育ちません。そのかわり卵をいっぱい産むんだよ知ってるかな？

・タラは一回でだいたい５００万個，カレイは９００万個の卵を産むんだけど，その中で１００万分の１ぐらいしか育たないんだ。１００万分の１というとタラはたった５匹，カレイで９匹なんだよ。

・じゃあ鳥はどうやって卵子と精子をひとつにするのか知ってる？

・そう，この絵のようにおしりとおしりをくっつけるんだ。でもその前に求愛行動といってオスはメスに愛情を打ち明けるんだって。知ってたかな。テレビなんかでみたことない？

・鶏のオスはメスにミミズとか木の実とかをプレゼントする。メスがいらないと返したらオスの愛情を断った証拠，受け取ったら愛情を受け入れたしるしなんだ。こうして愛情が通い合うと，さっき言ったようにオスはおしりをメスのおしりにくっつけて精子を送りこみます。精子はメスのおなかの中の卵子のところに行って出合うことになり，固いからに包まれた卵になって産み出されます。メスはその卵を何日も何日もあたためてひよこになります。でも鳥の卵も全部が全部かえるわけじゃないよね？

・そう，人間が食べたり，蛇が飲み込んだり，割れたりしてひなにかえる卵はほんのわずか。虫も魚も鳥もたくさんの無駄な卵を産むんだね。

・それに比べてホ乳類はどうかな？

・そう，ホ乳類は虫や魚や鳥のように卵をからだの外に産み出さないで，おなかの中で長い間子どもを育ててから産みます。もちろんホ乳類もはじめに愛情を伝え合うんだよ。知ってるかな？

・こうしてオスとメスとはお互いに愛情が通じ合うと…。犬なんか飼っている子知らないかな？

・そうそう交尾をするんだね。ホ乳類はさっきも言ったようにメスの子宮の中で大事に子どもを育ててから産みだすから，オス犬はペニスをメス犬のワギナに入れて精子を子宮のそばまで確実に送ってあげるんだよ。なぜなら精子は空気にふれるとすぐに死んでしまうからね。

・ホ乳類は少ない数の子どもをちゃんと産んでちゃんと育てるんだね。

・じゃあ人間はどうやって精子と卵子を出合わせるんだろうね？

・人間もホ乳類だからペニスをワギナの中にいれて，精子を子宮のそばまで送りこんであげるんだよ。

（騒がしくなったり，いやだなという子どもがいたら）・じゃあこういうことをするのはやめて，そのかわり赤ちゃんが欲しいときはお母さんが魚みたいに応接間のソファ－の上とか床の間の上に卵子を産んで，お父さんがそこへ行って精子をかけてから会社へ行ってきま～す。それならいいでしょう？

・そう，赤ちゃんにならなかったら困るでしょ。だから精子を用心深く子宮のそばまで送りこんであげるんだよ。そして，大切に大切に育てていくんだよ。・ほかの生き物は交尾と言ったけれど，人間の場合は性交といいます。

・じゃ，話を進めましょう。男の人のペニスから送り出された精子は，女の人のワギナから卵子のほうへ向かって進んでいきます。（一度に出される精子は３億ぐらいです。）

・精子が卵子のところまでいく仕事は，ちょうど川をさかさまにのぼっていくようなもので，１０分間にたった３㎝しか進めない精子にとってはとても大変なことなのです。途中で子宮の壁にぶつかって進めなくなったり，迷子になってしまったり，疲れて死んでしまったり，白血球におそわれたり…。

・（絵で説明しながら）子宮の入り口を通過して，子宮の中に入れる精子は３億個のなかでたったの１００万個くらい。もうここで後の２億９千９百個はだめになってしまうんだね。１００万個のうち卵管の入り口までたどりつくのは１０００個。（右へいくのと左へいくので運命は大ちがい）卵子の近くまでたどりつける精子はたったの１００個ぐらいなんだ。最初３億もあった精子だけれど，卵子の近くまで行けるのはたったの１００個ぐらいなんだよ。

・そして，その内のたった一つだけが卵子の中に入ってひとつになります。ひとつになることを受精と言います。

・もし，精子が入ってきても卵子がなかったり，うまく出合えなかったりしたら受精しませんから，赤ちゃんはできないのです。

・さっきっみんな「ワ－ワ－」言ってたけれど，お父さんが精子をお母さんのワギナに送りこもなければ，今こうしてみんなはここに座っていないんだよ。

・さて，受精した卵子と精子これを受精卵と言うんだけれど，受精卵は成長しながら（絵で説明）一週間ぐらいかかって子宮に降りてきます。前に勉強したように子宮はきれいな血液と栄養をいっぱいためてまっていますよ。１０日目にはすっかり子宮の中のふかふかしたあたたかいところにもぐりこむのです。でもね，受精卵が降りてきてもうまくもぐりこめなかったりして，２つに１つぐらいは死んでしまうと言われてるんだよ。（死んでしまったら月経としていっしょに出ていきます）

・こうしてうまくもぐりこめた受精卵が命の始まりなのです。・卵子と精子がひとつになったときから数えて，９週間目にはもう赤ちゃんの心臓が打つ音が聞こえます。脳や腸やいろんなところができていて身長は３㎝ぐらいかな。

・こうして子宮の中で２６６日ぐらい育てられ産まれてきます

・何を食べてるか知ってるかな？

・お母さんの子宮の中に胎盤という栄養のタンクがあって，そこにお母さんの血液がいっぱい送られてくる。赤ちゃんはへその尾でそこから栄養を吸収しながら大きく育っていきます。

・赤ちゃんはお母さんが転んでも強く打っても傷つかないように，特別の水が入った袋の中で自由に体を動かしたり，運動したり，指をしゃぶったりしているんだよ。

・うんちはしないけどおしっこはするんだよ。特別の水の中でいてその水を飲んでいるんだよ。そしてしっこをするんだよ。ちっとも汚くないんだよ。水を飲むのはおちちを吸う練習になっているんだ。そして，飲むときにいろいろ自分のからだの汚れなんかも一緒にのみこんで，きれいにしておしっことして出すんだよ。赤ちゃんは自分で特別の水をきれいにしているんだよ。

・赤ちゃんは肺を使って呼吸をしていないだよ。知ってた。酸素はへその尾からもらっているんだよ。生まれてからオギャ－って泣いて深く息をすいこむと初めて肺が大きく広がって呼吸を始めるんだ。

・どこから生まれてくるかは前に勉強したけど覚えてるかな？

・そうワギナだったね。

・赤ちゃんは生まれたらもう自分で呼吸もできるし，おっぱいも吸えるからもうへその尾はいらなくなるんだ。それでお医者さんが切ってくれるんだよ。

　