＜高校編：エロスティック・あひる・バンド＞
思いおこせば、高校１年の文化祭。なんか、３年の人達が体育館のステージで、ロックをやっているのを偶然見たのだ。そのとき、なぜか『ドラムカッコええやんけー』としびれてしもた。
当時はフォークブームで、拓郎や泉谷なんかバリバリやってた時代だったので、フォークギターを持っているヤツはなんぼでもおった。しかし、ドラムとなると借りるといってもなかなかみつかるものではなかった。買うにしても、どんなものをいくらで買っていいものか、私の周りに知っている人はいなかった。
それからどのくらい月日が過ぎたのかは定かではないが、清水くんというメガネをかけた太い同学年のヤツが、ドラムを売りたがっているという情報を得た。渡りに船とはこのことだ。当時の値段できっと３万円だったように思うその中古ドラムは、今にして思えば、新品で買っても５万円程度のものであったのではないかと思われる。しかし、兎にも角にも、我が家にドラムがきたのである。鍋のフタをたたいたような音しかしないハイハットやシンバルも、初めて憧れのドラムを手に入れた私にとっては、滅茶苦茶ええ音に聞こえたのであった。
さて、この日から、清水くんの指導のもと、右足でバスドラをふみながら、右手でハイハットをきざみ、左手でスネアーをたたくという、どう考えても人間業ではない、すべての手足をバラバラに動かすための練習がはじまった。授業中も寝ているときももちろん起きている時間のすべては、ドラムの練習に費やされていった。
そんな折り、バンドをつくろうという話も同時進行していった。なにしろドラムを買ったということで、自然発生的にやろうという話になっただけのことである。もちろん楽器やアンプなんて持っているヤツなんていなかった。
ベースを担当したいっしょのクラスの小川くんはベースなんて弾いてこともないし、もちろんベースを持っている訳でもないヤツだった。おそろしいことに、エレキギターの５・６弦だけを使って、２弦ベースと称して弾いていた。
ギターとヴォーカルのマッコは私と同じバレーボール部で、こいつはビートルズをはじめ、いろいろな外国の音楽を私に教えてくれた。自分のことをマッカートニーといっていた。
リードギターを探していた３人は、柳生ハウスに集う仲間であったので、誕生パーティーなどといってよくドンチャン騒ぎをしていた。ある日（確か私の誕生日だったと思う）、なぜかマイクを探していた。そのとき、今まであまり遊んだことはないけれど、５０メートルも家の離れていない湯川というガリガリのヤツがマイクを持っているという情報を得た。そこで早速借りにいったところ、「なにするんや？それやったら俺もいってもええかー」てなことで、パーティーに参加。そのときに、ワンフレーズギターソロ弾いただけで、当時そんなん弾けるヤツ誰もおらんかったんで、うちのバンドに入れと、即勧誘し、否応なしに参加となった。
はじめに練習した曲は確か、ビートルズの「バースデー」やった。「タックンタックン」の今では簡単なドラムソロができずになんぎした。
ビートルズをやっているということで、これまたバレー部のヨガ小林が「ぼくもまぜてー」ということで、キーボードとして加入。こいつは小さい頃からエレクトーンを習っていて、うちのバンドでは唯一楽譜のよめるヤツだった。
これで、メンバー（ギター・ヴォーカル：マッコ、ギター・コーラス：湯川、ベース：小川、キーボード：ヨガ小林、ドラム：ぎゅうどん）がそろい、名前は【エロスティック・あひる・バンド】とつけた。名前の由来は、私があひるみたいな唇をしていることと「エロスティック」という響きがよかったので、全員気に入っていた。
当時やっていた曲はビートルズのコピーとオリジナルのロック？をどんどん即興的につくっていった。文化祭では、なかなかの人気で、取り巻きの仲間も柳生ハウスの面々を中心に広がっていった。
文化祭だけではなく、しょっちゅう柳生ハウスに集まって、練習をしたり、曲を発表したり、お下劣なパーティーをっくりひろげていた。（この頃のことはアニキのＨＰにくわしく書かれている）
★思い出すかぎりやっていた曲を書いてみよう。
（ビートルズ）【バースデー】【デイトリッパー】【カムトゥギャザー】【サムシング】あと忘れた！
（オリジナル）【クレイジーロックンロール】【木の本ってどこですかブルース】【しんちゅう】あとぎゅうどんの曲が何曲かあったはず…。
この頃ＪＡＭＡーＢＡＮＤの金ちゃんも別のバンド「キャメルバッチ」（らくだのももひき）を結成していた。メンバーは知る人ぞ知る、ヴォーカル・ギター：金ちゃん、ギター：宇衛、ベース：坂口、にぎやかし：北野、ヴォーカル：名前忘れたけど女の子いてた。キャメルバッチとあひるバンドは仲良しで、練習もいっしょにやっていた。おそらくベースを借りたり、ギターをいっしょに使ったり、アンプも共有していたこともあり、柳生ハウス（散髪屋）で練習していた。
キャメルバッチといっしょにやった曲は、南沙織の「秋の風が吹いて…」という曲、吉田拓郎の「落葉」なんかをやっていました。
金ちゃんはこの頃から、企画力を発揮して、あひるバンドのラストコンサートでは、ダンサーを集めてきて、踊りつきでやった。もちろん金ちゃんも踊っていた。
なにしろ、高校時代はバンドに明け暮れ、曲をつくり、ギターを弾き、ドラムをたたき、集まってさわぐ、そんな日々を過ごしていた。まさしく【青春】であった。
