Ａ72こんばんわ。お返事が遅くなりました。それではさっそくですが…。
　今の子ども達は情報の渦のなかにいます。性に関して、子ども達の得る情報のほとんどは興味本位にかかれた漫画や雑誌・テレビ・ビデオ・インターネットなどです。今は、コンビニに行けば、私たちが若いころはとうてい普通の店では手に入らなかった、ヘヤーヌードの載った雑誌があり、子どもたちが読むマンガ週刊誌などは性描写など頻繁にのっています。
　性について正しい知識を与えられるのは、まさしく家庭と学校なのですが…。しかし、今まで日本では性についてはタブ−視されてきましたから、親も教師も性教育をまともに受けて育っていません。だから、どこまで教えたらいいのか、どのように教えればいいのかとつい悩んでしまい、逃げてしまうかごまかしてしまうのです。
　実際に女の子の性について、初経指導を例にとって考えてみましょう。学校では２０年以上も前から女子だけを修学旅行などの前に体育館などに集め、スライドをみたり、月経の処置を主に教えてきました。（今はこういう指導方法は少なくなってきていますが）初経指導を女の子だけのものにせず、男女が共に学ぶことによって、お互いのことを知り、男女の柔らかい関係をつくっていく絶好の機会にしたいものです。
　男の子の性については今まで日本では本当に（正面きって）語られてきませんでした。その証拠に思春期の電話相談で性に関する内容のトップがマスタ−ベ−ションについて、次いで包茎の悩み、それにペニスの大きさや形についてと続きます。自分の体に関する初歩的なことさえ教えられずに悩んでいるのです。幼い頃から性の話をオ−プンにしてきたある家庭では、「姉の初経を祝ったように弟のあなたにも精通があったら教えてちょうだい。いっしょにお祝いしましょうね」と言っておいたそうです。この子が精通を迎えたとき母親に報告があり、家族みんなでお祝いをしたそうです。
　そもそも性教育は家庭が主な場なのです。しかし、前述したように、性教育を受けてきていない親はどのように言えばいいのか、どこまで教えればいいのかなど悩み、かんじんなことからは逃げたり、無関心を装ったりしてしまいがちです。
　子どもは３才ぐらいになると男女の性の違いに気づきはじめます。そして、「私はどこから産まれてきたの」とか「弟にはオチンチンがあって、なぜ、わたしにはないの？」などと聞くようになるものです。そのときに今までよく親が言ってきたのが、「こうの鳥が運んできたのよ」「木の股から産まれたんだ」「川上から流れてきたんだよ」などでした。また、最悪なのが「橋の下でひろってきた」です。子どもの心は傷つき相当大きくなるまでしこりを残すこともあります。なぜ「ワギナというお母さんのここにある赤ちゃんの通るところから産まれてきたのよ」と、お風呂に入ったときにでも言えないのでしょうか。見せてあげるのもいいでしょう。
　それは、今まで日本では性についてはタブ−視され、特に女性の月経についてはけがれとして扱われてきたからでしょうね。家庭では子どもに聞かれたことから逃げずに、わからないことははっきりわからないと答えればいいのです。そして、わが子の生いたちについて多いに語り、へそのおや幼い頃の写真などを見せることも合わせて、誕生日などに語ってあげられるのではないでしょうか。また子どもが学校で性教育を受けてきたときは、新しい知識を早く話したいと思って帰ってきますから、親は子どもが話したとき「そんなことどこで聞いてきたん。そんなこと言うもんと違う」などと言わずにいっしょに学ぶつもりでよく聞いてあげて欲しいのです。
　コンドームについての説明を急ぐことよりも、性について子どもと一緒に学べばいいのではないでしょうか。
　しかし、コンドームも子どもがよく行く１００均の店にあるのが現象ですから、５年生でも十分説明していいと思いますよ。
　近頃は図書館や書店にもたくさん性についての書籍がありますから、一緒に読むのはどうでしょうか。小学校の図書室にも案外何冊かあると思いますよ。いい機会ではないでしょうか。
　何冊か私の持っている本を紹介してみます。
＊「あかちゃんはこうしてできる」（絵本）　アーニー出版　Ｐ．Ｈ．クヌーセント：文と絵　北沢杏子：訳
＊「わたしとぼく」自分ってなんだろうー生命のはじまり　ポプラ社　文：小形桜子・三井富美代　絵：おかべりか
＊「おちんちんの話」　あゆみ出版（今はちがう出版社もしれません）　文：山本直英　絵：ありたのぶや
＊「ポップコーン天使（エンジェル）」マンガで考える女の子の性　監修：山本直英　マンガ：手丸かのこ
＊「性の絵本」全５冊　大月書店　編著：山本直英・高柳美知子・安達倭雅子　画：木原千春
＊「さわやかに親が子に語る性」　草土文化　山本直英
＊「父親のための性教育入門」　大修館書店　山本直英

　家庭で性の話をするのはなかなか難しいようですが、性の話も父親とできるってとっても大切なことだと思います。
　しかし、年齢が上になればなるほど、性についての話はなかなか…。いろいろ質問してきたときがその機会かもしれません。
　また、どんなことでも質問、お待ちしています。