それではさっそくですが…。
　以下のことを参考にしてください。
　射精前にも「カウパー腺液（俗に言う「がまん汁」）」と呼ばれる分泌液の中にだって、精子が含まれているのです。たとえ1匹でも精子が子宮内に入ったら、それだけで十分妊娠の可能性は出てきます。また、膣外射精は避妊ではありません！　また、膣の中でなくても、膣のそばで射精したり、射精後の精液がついた手で膣をペッティングして妊娠してしまうことだってあるのです。十分注意してください。
　また、月経周期の定まっていないティーンの頃は、毎日が危険日と考えるべきです。妊娠しやすい日とか、妊娠しにくい日とかいうのはないと思ってください。いわゆる安全日とか危険日というのは、ホルモンの巡りのよい、すなわち月経の周期がきちんと確立していて、少々のことでは排卵日がくるわない女性のために言われ出したことです。それでも、安全日といっても、排卵日が終わって、体温が高温期に入ったのを確認して、４〜５日後から、月経までのとても少ない日数の間だけのことです。まだ若くて、ホルモン状態が確立していないころは、何かの拍子に排卵日がくるうということは、とてもよくあることです。だから、毎日毎日が、妊娠しやすい日と考えるべきです。もちろん生理中もです。
　また、精子は女性のからだに入ってから、３日は生きるとされていましたが、いまではもっと長く生きるといわれています。

　さて、避妊についてです。
【コンドーム（男性用、女性用）】
　いちばん有名で手軽な方法。どちらも袋状のゴムで、男性用は男性器に装着し精子が子宮内に入るのを防ぐ方法。女性用は女性の膣内に入れて精子の進入を防ぐ方法。女性用の場合、最初は装着が難しいようですが慣れれば使い心地はいいようです。（特に男性用は）破れたり外れたりの失敗があるけれど、正しい取り扱いをすれば避妊率は比較的高いです。またSTD（性感染症）の予防にも有用です。
★男性用
　形状やサイズ、厚さなど種類が豊富で、最近ではラテックス（ゴム）アレルギー対策として、ポリウレタン製コンドームも発売されていますので、普通のコンドームでは痒みが出たり荒れる、という場合にはコチラをオススメ。（ちょっと割高ですが）
★女性用
　ポリウレタン製。女性の膣内にゴムの袋を挿入するので男性器の大きさにサイズが捕らわれず、男性用コンドームが合わないひとたちにも使用の価値アリ。ただし慣れるまで装着はちょっと難しいようです。
＜正しい取り扱いって？＞
★コンドームを爪などで傷つけない。（破れたり精液が漏れる原因になります）
★装着時に空気が入らないよう装着する。（コンドームと性器が密着せず、空気が入っていると破れる原因になります。）
★裏と表を間違えない。（もし裏表を間違えて装着した場合、途中で気が付いたら必ず新しいコンドームを装着し直してください。間違って着けていたものを裏返して、なんていうことは厳禁です！）
★装着は行為の最初から。最初は付けずに挿入して、射精直前に装着するのは間違いです。（射精前に出ている「カウパー腺液」に少量の精子が含まれていることもあります。）
★ゼリーを使用するときは、必ず水溶性のものを。（油性のゼリーやオイルはコンドームが劣化したり破ける原因になります。）
★口紅も油分が含まれているので注意です。
★コンドームの二枚重ねは厳禁。（二枚重ねれば安心、と思っているひともいるようですが、ゴム同士が擦れて破れる原因になります。）
★使用期限の切れたコンドームは使わない。（ゴムが劣化していて破ける可能性があります。また、お財布などに入れて持ち歩くのも、傷が付いたり劣化の原因となるので控えましょう。コンドーム携帯用のハードケースも市販されています。）
＜どこでいくらくらいで買えるの？＞
　コンビニや薬局、通信販売、自動販売機などで入手でき（原宿には怪しくない専門ショップもあります）、男性用はひと箱６個入りで500円、12個入りで1000円くらいから、女性用はひと箱3個入りで800円くらいから（メーカー価格）販売しています。薬局や通販ではまとめ買いで格安で購入できたりもします。無印良品でも発売されていて、シンプルなパッケージなので女性でも買いやすいようです。
　自動販売機を利用する場合は回転の遅い自販機だと品質保証期限が切れている場合もあるので、期限のチェックをきちんとするようにしましょう。
　なお、値段による品質の差（安い方が破れやすいとか）は全くありません。
　でも、わたしは１００円均一（１００均）で売っているのは大丈夫かなって思います。


　【殺精子剤（フィルム、錠剤、ゼリー）】
＜どんな方法？＞
　女性の膣に、精子を殺す働きのある薬剤を挿入します。女性が主体になって行える避妊法ですが、確実性に欠け、また界面活性剤（洗剤の成分のひとつ）を使用しているものもあるのでアレルギーを起こすひともいます。単体での使用は避妊率があまり高くないので、コンドームとの併用が望ましいです。
　最近では「メンフェゴール配合」という殺精子剤付きのコンドームも販売されています。「殺精子剤付きコンドーム」ということは商品には明確には記載されていないようですが。（コンドームは医療用具、殺精子剤は避妊具、という商品の区別があるからだそうです。）
＜どんなもの？＞
★フィルム
　大鵬薬品の「マイルーラ」は現在では製造が中止されてしまい、今薬局などにある在庫分のみとなっていると思います。薄いフィルム状のもので、小さく折り畳んで膣の奥の子宮口まで挿入します。指が濡れていると手に付いたり溶けてしまうので乾いた状態で挿入しなければならず、慣れないと痛かったり大変らしいです。
★錠剤
　エーザイから販売されている「ネオサンプーンループ」というもので、見た目はラムネのようなものです。膣内で発泡して広がるので、発泡が不十分であったりすると効果はきちんと現れません。また発泡性という特徴から、灼熱感を感じる場合もあります。
＜正しい取り扱いって？＞
★薬剤を膣の奥までしっかりと挿入すること。（奥まで届いていないと薬剤が流れ出してしまします）
★説明書に書いてある挿入の時間（挿入のどれくらい前に薬剤を膣に入れるか）を守ること。（早すぎると挿入時にはもう薬剤の効果が薄くなっていたり、遅すぎると薬剤が溶けきらず効果が出なかったりします。）
どこでいくらくらいで買えるの？
　薬局や通信販売で購入できます。フィルムは10枚入りで2000円くらいで、錠剤は20錠入りで600円くらいから。ただ、先にも書いた通りフィルムタイプの「マイルーラ」はすでに製造中止されており、錠剤のものはあまり見掛けることがありません。ただ、通信販売だと比較的手に入りやすいようです。


　【ペッサリー】
＜どんな方法？＞
　子宮の入り口にかぶせ、精子が子宮内へ入るのを防止する方法。女性用コンドームの簡易版、のようなもの……でしょうか。女性自身が行え、精子の進入を防ぐという点では女性用コンドームと同じ仕組みですが、女性用コンドームが膣内〜子宮口をすっぽりカバーするのに対し、ペッサリーは子宮口だけをカバーするのできちんとした指導の元で使用しないと確実性に欠けます。
＜どんなもの？＞
　弾力性のある円形の枠にゴム状の膜を張ったものです。使用するときはゼリー状の殺精子剤を塗って使用すると避妊効果が上がります。
　使用後は水で洗って再利用できますが、膣のサイズが変わったときには買い換えが必要です。
＜正しい取り扱いって？＞
★挿入はセックス前に。また使用後は取り忘れのないように。（ずっと入れっぱなしにしていると、血行障害を起こすことがあります。）
★ただし、取り外すときはセックス後6時間以上経ってから外すようにしましょう。（すぐに取り出すと生きている精子が膣から子宮内に進入する場合があります。←ここが女性用コンドームと違うところですね。）
＜どこでいくらくらいで買えるの？＞
　自分のサイズに合ったものを選ばなければならないので、婦人科に行ってサイズを選び使い方の指導を受ける必要があります。


　【IUD（子宮内避妊器具）】
＜どんな方法？＞
　受精卵が子宮に着床しないよう、予め子宮内に器具を挿入する方法。比較的効果の高い方法で、一度挿入したら１〜２年はそのままでいいという、女性にとって嬉しいと感じる避妊法ですが、子宮内に器具を入れるため出産経験のある女性のみしか使用することができません。妊娠を希望する場合は器具を外せば可能になります。
　ちなみに、もしリング装着時に妊娠してしまった場合でも胎児には支障はありません。
＜どんなもの？＞
　「リング」と言われるプラスチック等で作られた小さな器具です。
　現在では銅付加IUDというタイプが主流です。
 ＜正しい取り扱いって？＞
★子宮や卵巣に異常があるひとは使用しない。
★半年に一度、定期検診を受けなければならない。
＜どこでいくらくらいで買えるの？＞
　IUDは自分で挿入することはできません。婦人科へ行って医師に挿入してもらうことになります。（手術・麻酔はありません。挿入に掛かる時間は１、２分のようですが、初診の場合は診察も含め１時間ほど見ておいた方が良いようです。）値段は装着時には２〜３万円、外すときには５千〜１万５千円が相場のようです。


　【避妊手術（男性、女性）】
＜どんな方法？＞
★男性
　「パイプカット」と呼ばれ、精子の通り道である精管を縛って切除し精子が外に出ないようにする（精液の見た目や量に変化はなく、ただ中に精子がいなくなるだけ。ただし、術後１、２ヶ月は中に残っていた精子が射精時に出る場合があるので、避妊をしたほうがいいそうです）方法です。
★女性
　卵子の通路であり、精子との受精の場でもある卵管を縛って精子と受精できないようにする方法です。

　ほぼ確実に避妊することができますが、再び正常な状態に戻すことは難しいので、将来子どもを望まないことが前提になります。そのため手術の際にはパートナー（夫婦）間での同意書が必要となります。
＜どこでいくらくらいかかるの？＞
　当然、病院での手術となります（男性は泌尿器科、女性なら（産）婦人科で相談しましょう）。費用は男性の場合は7万前後、女性の場合20〜30万で保険適用外です。


　【緊急避妊（薬）...アフターピル・モーニングアフターピル（俗称）】
＜どんな方法？＞
　変則的な避妊法で、避妊に失敗した（避妊をしなかった）セックス後に緊急避妊薬（ピル）を服用することによって子宮内膜を剥脱させ、受精卵が子宮に着床するのを防ぎ、妊娠を回避する方法です。（妊娠は精子と卵子が受精したら即成立、ではなく受精卵が子宮に着床した時点で成立するので、避妊に失敗しても妊娠までには受精後多少の時間が掛かるのです。そのタイムラグを利用して子宮内膜を剥がしてしまい、受精卵が着床できないようにします。）
　ただし、吐き気や頭痛などの副作用を伴う場合が多い上に、何度も繰り返すと総合的に妊娠率は高くなるのであくまでも緊急時の、最終手段的な避妊法です。
＜どんなもの？＞
　中用量ピル、あるいは第二世代か第三世代の低用量ピルを服用します。（中用量ピルの使用がメジャーです。）
＜正しい取り扱いって？＞
★避妊に失敗したセックス後72時間以内（早ければ早いほうがいいです）に決められた用量の緊急避妊薬を服用し、その12時間後にさらに決められた量の緊急避妊薬を服用します。
★副作用として吐き気を伴うことが多いので、吐き気止めの薬を併用することも可能です。
★緊急避妊を常用的な避妊法とするのは非常に危険です。回数を重ねれば重ねるほど、コンドームなど他の避妊法よりも妊娠のリスクは高くなります。
＜どこでいくらくらいで買えるの？＞
　緊急避妊を取り扱っている産婦人科・婦人科で処方してもらえます。まだ普及率・認知率が低く、どこの婦人科へ行っても中用量ピルを緊急避妊薬として処方してもらえるわけではないので、事前に電話で問い合わせるか、日本家族計画協会という団体で最寄りの取り扱い婦人科を尋ねてみてください。
　保険適用外で病院によって値段もまちまちですが、１〜２万円見ておけば大丈夫でしょう。


■　これは避妊じゃありません！
【膣外射精】【基礎体温（リズム法、オギノ式）】
　立派な避妊法だと思っている方法でも、実は「避妊」とは言えないものもあります。以下の方法だけで避妊をしている場合、妊娠するのは時間の問題とも言えるでしょう。今妊娠を望んでいないのなら、絶対にやめてください！


　【膣外射精】
　いわゆる「生で外だし」、というやつです。
　「俺はタイミングを計るのが上手いから」「中で絶対に出さないから」「俺は薄いから妊娠しないから」そんな言葉で膣外射精をしている男性やそんなパートナーを信じている、あるいはそんなパートナーに何も言うことが出来ない女性の方、いませんか？
　絶対に中で精子を出さないなんて言い切れないし、そもそも射精前にも「カウパー腺液（俗に言う「がまん汁」）」と呼ばれる分泌液の中にだって、精子が含まれている場合もあるのです。たとえ1匹でも精子が子宮内に入ったら、それだけで十分妊娠の可能性は出てきます。
　膣外射精は避妊ではありません！


　【基礎体温（リズム法、オギノ式）】
　基礎体温は女性が自分の身体のリズムを知ることには非常に有益ですが、残念ながらこれだけで「避妊法」とは言えません。　もともと「排卵日は次回生理予定日の約２週間前」と言う「オギノ式」は望まない妊娠を防ぐためではなく妊娠したいひとがいつ妊娠しやすい時期なのか、を知るために提案された方法です。もちろん、基礎体温を測って排卵日を予測することはできますが、それはあくまでも「目安」として、基礎体温を避妊法の一部として活用するならば「排卵日かもしれない」前後はセックスを控え、「妊娠しにくい時期」である場合にはコンドームなど他の避妊法を併用してセックスをする、という具合にすることをオススメします。

　少しはわかっていただけましたか？
　またどんなことでも、質問してください。